こんにちは、尼崎市の司法書士の村田です。

初夏の陽気が続き、梅雨前の気持ちのいい季節になってきましたね。

さて、今回は今ではあまり見なくなった不動産登記のお話です。

不動産登記の記録は、現在は、コンピュータ化されてどこの法務局からでも登記の記録を見ることができますし、横書きで見やすくなっています。しかし、昔は、ブック形式と言って手書きでさらに縦書きのもので、不動産を管轄する法務局でないと不動産の記録を見ることはできませんでした。

この不動産記録のコンピュータ化については、すべての法務局で一気に行われたわけではなく、だいたい平成の初期ごろから順次行われていきました。

現在は、すべての法務局がコンピュータ化されていますので、北海道の不動産でも沖縄の不動産でも、尼崎で登記記録を取得することができますし、インターネット上でも登記記録を閲覧することができます。

しかし、コンピュータ化される過程で何らかの理由でコンピュータ化されずに、昔のブック形式のままの登記記録で残ってしまった不動産もあります。
この不動産のことを「改正不適合物件」といいます。

改正不適合物件は、コンピュータ化されていないため、インターネット上で登記記録を取得することはできませんし、管轄の法務局以外の法務局での登記記録の取得もできません。

よくあるのが、相続登記の相談で発覚することが多いです。
相続人の方が権利証を持っていたり、固定資産税の納税通知を持っていたりで、対  象不動産の土地の地番や建物の家屋番号がわかっているため、インターネット上で請求をかけるのですが、「該当なし」との回答が返ってきます。
主に建物に見られます。

こういう場合は、①対象不動産の登記記録が閉鎖されているか、②行政区画の変更等で地番や家屋番号が変わっているか、③改正不適合物件か、大体この3つのうちのどれかが原因です。
①については、登記記録がコンピュータ化される前に、すでに建物が取り壊されていたり、土地の合筆により消滅していたりの理由からすでに登記記録が閉鎖されているケースです。この場合は、コンピュータ化前の閉鎖された謄本を請求すれば取得することができます。ただし、登記記録はコンピュータ化前のものになるので、インターネット上では請求できませんし、管轄の法務局以外の法務局では取得することはできません。②については、昔の地名が今どうなっているかを調べる必要があり、変更後の地名や地番で請求をかければ登記記録を取得することができます。変更後の地名や地番は、市役所の都市計画課や法務局で調べることができます。

では、今日の本題である③についてどうでしょう?
③は、法務局の謄本等を取得する窓口で相談するのが一番早いですが、コンピュータ化前の登記記録の請求をかければ取得できます。ただ、この場合、あくまでコンピュータ化されていないだけで、登記記録は閉鎖されず生きていますので、閉鎖されていないものとして請求をする必要があります。

この改正不適合物件の登記申請において、通常の不動産物件と登記申請において何が異なるかというと、登記完了後に発行される権利証が違います。
現在の不動産の権利証は、「登記識別情報通知」というものですが、昔は「登記済証」というものでした。

ここで、登記識別情報通知とは平成16年の不動産登記法の改正により定められた制度で、現在の不動産の権利証のことです。登記識別情報通知は、オンライン化されている法務局のみで発行されますが、平成16年の不動産登記の改正後、全国の法務局で順次オンライン化が進みました。オンライン化される前までは、改正前の不動産登記法で権利証とされていた登記済証という書面が発行されていました。現在すべての法務局でオンライン化が完了しておりますので、どこの法務局に申請しても登記識別情報通知は発行されます。
登記識別情報通知には、その不動産の登記上のパスワードが記載してあり、そのパスワードを法務局に提供すれば、登記識別情報通知の原本がなくても登記は通ります。
(権利証については2016.4/14投稿の「権利証がない」にも詳しく書いています。)

改正不適合物件はそもそもコンピュータ化されていないので、登記識別情報は発行されません。
昔の権利証の形式である「登記済証」が発行されます。

「登記済証」とはどんな形式化といいますと、原因証書(現在の登記原因証明情報)という登記の原因となる法律行為を記した書面もしくは、登記申請書と同一のもの(申請書の副本)を、申請書と一緒に法務局に提供します。すると、登記完了後に法務局が原因証書もしくは申請書副本に「登記済」という朱色のハンコを押して返却してくれるというものです。
「登記済証」は、登記識別情報と異なり、登記申請の際は、原本が必要になります。
登記済証の発行を請求する場合に、もう一つ通常の登記申請と異なるのは、申請書の添付書面欄に「規則附則第15条第2項の書面」との記載が必要になります。
「規則附則第15条第2項の書面」とは、不動産登記規則の附則第15条2項に定められている書面のことで、まさしく申請書副本のことです。この規定は、前述しましたが、平成16年の不動産登記法改正後に、各法務局が順次オンライン化されていき、権利証の様式が登記済証から登記識別情報通知に切り替わっていった時期に、いまだオンライン化されていない法務局においては登記済証が発行されるので、申請書副本を付けてくださいというもので、私は、「改正不適合物件」なるものがあると知るまでは、すべての法務局がオンライン化されている現在において、形骸化された規定だと思っていました。

まとめると、現在の不動産登記申請において、権利証が発行される場合は、原則、登記識別情報通知が発行されますが、改正不適合物件については登記済証が発行されるということです。

尼崎市内においては、この「改正不適合物件」はたまに見かけます。
ちなみに、法務局でなぜコンピュータ化されていないのか?と聞いても、原因はよくわからないとの回答がほとんどです・・・
人間のやることなので、完璧ではないのは仕方がないです。
他にも登記関係でのヒューマンエラーには、公図と地図が合わない「地図混濁地域」とか、登記官の記載ミスの「職権更正」いうのもあったりしますが、それはまた別の機会にお話しします。

尼崎市内に限らず、まだまだ古い建物が残っています。

登記のご相談は、ぜひ司法書士村田事務所まで!!