こんにちは、尼崎市の司法書士の村田です。

3月・4月と非常に忙しく、中々更新できませんでした。
気づけば春も終わり、初夏の陽気ですね。
花粉の季節も終わり、梅雨がくるまではさわやかな季節です。

さて、今日は個人商人の支配人登記についてのお話です。
正直、司法書士の中でもやったことがない人も多いかもしれません。
それだけマニアックな登記のお話です。

まず、個人商人とは、単純に個人事業主のことです。
株式会社などの会社は、設立登記をすることによって成立しますが、個人事業主は、原則何ら登記をする必要はありません。(税務署への届出は必要です。)
ただ、登記をする必要がないだけで、いくつか登記をすることができます。
そのうちの一つが、支配人の登記です。

商法では、「商人は、支配人を選任しその営業所において、その営業を行わせることができる。」(商法20条)とし、「支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」(商法21条)と定めています。
つまり支配人は、あらかじめ定められた営業所において、商人に代わり、ほぼその商人と同様に営業活動ができ、それに法的な責任も伴うというものです。
そして、商人は、支配人を選任したときはその登記をしなければなりません(商法22条)。

支配人とはイメージでいうと、小売店や飲食店などの店長などがしっくりくるでしょうか。
しかし、店長などはあくまでその店舗の責任者としての意味合いが強く、商人とほぼ同様な行為ができるわけではありません。

では、支配人は実際どのようなときに選任登記するのでしょうか?
正直、私も個人商人で支配人の選任登記をする場面は、1つしか知りません。
それは、建設業の許可を得る場合の要件の1つとして経営業務の管理責任者がいるということがあります。
この経営業務の管理責任者とは、個人事業主の場合、事業主本人または支配人登記をした支配人に該当する者です。これに加え一定の業務経験があることも要件です。
個人事業主が業務の範囲を拡大するために信頼できる従業員を支配人登記したり、後々の事業承継を見越して、予め親族等に経営業務の管理責任者としての業務経験の年数を積ませるために支配人登記をすることが多いのかなと思います。

では、支配人の登記の中身は?というと、まず申請書から見ていきましょう。

支配人の氏名及び住所    兵庫県尼崎市○○○○○○   司法 書士男

登記の事由   支配人の選任

登記すべき事項
「支配人の氏名及び住所」
「住所」  兵庫県尼崎市○○○○○○
「氏名」  司法 書士男

「商人の氏名及び住所」
「住所」  兵庫県西宮市○○○○○○
「氏名」  司法 書士介

「支配人を置いた営業所」
兵庫県伊丹市○○○○○○

「登記記録に関する事項」
新設

登録免許税   金3万円

添付書類   委任状

印鑑届出の有無    有 or 無

申請人   兵庫県西宮市○○○○○○  司法書士介

代理人   兵庫県尼崎市南塚口町五丁目1番9号  司法書士 村田 弘志

申請書としては、上記のようなものになります。

ここで、印鑑届出についてですが、支配人を置こうとする個人事業主(個人商人)が支配人登記をする場合は、印鑑届出をしなければなりません。
また支配人も印鑑届出をすることができます。これは一般の株式会社の支配人と同じです。
支配人の印鑑届出をするかどうかは、任意ですが、印鑑届出をすると支配人名義の印鑑証明書を法務局から発行してもらえることになります。
さらに細かい話ですが、印鑑届出書の記載項目も通常の株式会社や合同会社などとは異なります。
「商号・名称」欄は「氏名」として、個人商人の氏名を記載します。
「本店・主たる事務所」欄は「住所」として、個人商人の住所を記載します。
印鑑届出者の「資格」・「氏名」欄には特に記載を要しません。

登記の添付書類は司法書士への委任状のみでOKですが、私は、虚無人・不正登記を防止と後々のトラブルを防止するという観点から、承諾を得た上で、個人事業主の支配人の選任書と支配人の就任承諾書を頂くようにしています。

登録免許税は、原則3万円ですが、支店所在地において支配人の登記をする場合は9,000円です。

支配人の登記完了後は、個人商人の履歴事項全部証明書(謄本)を取得することができるようになります。
会社ではありませんが、会社法人等番号も設定されます。

今回は、かなり細かい実務的で、マニアックな話になってしまいました。
ただ、建設業者が仕事を発注する際に建設業の許可を得ていることや社会保険に加入していることなどを条件にすることが増えている現状から、今後建設業の許可の取得についての需要も増えることが予想されます。

その時に少しでも誰かの役に立つかもしれませんね。

ちなみに、建設業の許可申請を代理人として申請するのは、司法書士ではなく行政書士になりますので、建設業の許可についての具体的なご相談は当事務所では受けかねますが、提携の行政書士をご紹介することはできますので、お気軽にご相談くださいませ。
その場合、もちろん紹介料等は一切不要です。