こんにちは、尼崎市の司法書士の村田です。

日差しが気持ちいい日も増えて、春めいてきましたね。

今回は登記名義人の住所変更登記についてです。
今まで何度か住所絡みの投稿はしてきましたが、今回は住所の変遷の流れがつかない場合です。

登記名義人の住所変更の登記をする場合、登記上の住所と現在の住所まで住所変更の流れがつくことを証明しなければなりません。
たとえ氏名は同一でも、同姓同名の人間は世の中にたくさんいますから、本当に登記上の人物と今回の住所変更登記を申請した申請人が同一人物なのかは登記上の住所から現在の住所までの住所変更の流れがつけば証明できます。

登記上の住所から直接現住所へ住所変更しているときは、住民票さえ取得すればつながりはつきます。
通常、住民票には前住所の表記があるためです。その前住所欄に登記上の住所の記載があるはずです。

では、複数回住所変更をしている場合はどうでしょうか?
たとえば、住所地A(登記上)→B→C→D(現住所)と変更している場合、今の住民票を取得しても通常、前住所としてCの記載しか載っていません。これではA~Dへの住所変更のつながりがつきません。
こういった場合にA~Dがすべて同一市町村の場合は、住所変更の記載事項証明書のようなものが取得できることがありますので、そこに住所変更の流れが記載してあるため、それで足ります。ただし、この住所変更の流れが載るかどうかは市町村によっても様式が異なるため一概にはいえません。
A~Dに他の市町村が混じっている場合は、住民票だけでは住所変更のつながりがつきませんので、こういう場合は戸籍の附票を取得します。
戸籍の附票とは、その戸籍が編製されてから閉鎖されるまでの間の住所の変遷が載っている書面です。
この戸籍の附票があれば、住所の変更のつながりがつきます。しかしながら、戸籍は明治時代に戸籍制度ができてから大正・昭和・平成と何度か改製されています。そのため、住所変更が戸籍の改製にまたがって行われている場合、現在の戸籍の附票を取得しても、それだけでは、住所の変更のつながりがつきません。
改製された古い戸籍のことを原戸籍といいますが、この原戸籍の附票も取得することができますので、こういった場合は原戸籍の附票を取得すればつながりがつく可能性が出てきます。
ただ、法律上、戸籍の附票は戸籍が閉鎖されてから5年間しか保管期限が設けられていません。これも市町村によって異なりますが、5年間経過したら自動的に廃棄する市町村もあれば、5年経過後も数年は保管して、ある一定の年度にまとめて5年経過の戸籍の附票等を廃棄する市町村もあるため、5年経過後でも取得できるケースもあります。

では、住民票や記載事項証明書、戸籍の附票等を取得してもそれでも住所の変遷の繋がりがつかない場合はどうすればいいのでしょうか?
このような場合は、上申書というものを添付します。
上申書の内容は、簡単に言うと、「登記上の所有者の住所と異なり、住所の変遷の繋がりがつかないため、登記上の所有者との同一性が取れないが、私が所有者に間違いないです。」というものです。
この上申書に権利証のコピーをくっつけて申請書と一緒に申請します。
住所変更登記に原則、権利証の添付は不要ですが、所有者しか持っていないはずの権利証を添付することで、所有者に間違いないことを示すのです。この場合は、権利証の原本の提出も必要です。
また、上申書には実印を押印し、印鑑証明書も添付しておけば間違いありません。

住所が関係する登記については、私も今までいろいろと書いてきましたが、住所変更・氏名変更登記はもっともっと論点があります。
また、住所変更・氏名変更登記は、他の登記(所有権移転登記や抵当権設定登記・抹消登記)の前提として申請することが多い登記であり、住所変更・氏名変更登記を間違えて取下げたり、却下してしまうと、すべての登記を取下げ・却下しなければなりません。
つまり、登記事故につながります。
そういった意味では、中々恐ろしい登記でもあります。
我々、司法書士は住所や氏名変更登記のことを「名変登記」(メイヘントウキ)と呼ぶことが多く、通常の名変登記であれば特に難しいものではないのですが、いかんせん論点も多いので油断のできない登記でもあります。

このようなことから司法書士業界では、「たかが名変、されど名変」と言われています。

私も改め油断せずに仕事をしていきたいと思います。