こんにちは、尼崎市の司法書士の村田です。

関西地方も梅雨入りし、ジメジメの季節到来ですね。

今回は、通常の不動産売買ですが、表題のとおり、仮差押えの登記がされている不動産の売買についてのお話です。

仮差押えとは、民事保全法という法律に定められている手続きで、通常の差押えは、判決等の裁判上認められた権利(債務名義)を取得した上でないとすることができません。しかしながら、裁判手続きは時間がかかりますので、裁判中に相手方に財産を処分されてしまうとせっかく債務名義を取得したにもかかわらず、差し押さえる財産が何もないということになってしまい、回収することができなくなってしまいます。
それを防ぐために、裁判の前に予め裁判所に仮差押えの申立てを行い、相手方の財産の保全をすることができます。そして、不動産の仮差押えについては、裁判所の嘱託により登記がされ、仮差押えの登記以後にされた登記については、仮差押権者に対抗できない登記となります。

仮差押えの登記がついているとそれ以後にされた登記は覆ってしまう可能性があるということなので、この仮差押えの登記がある不動産はそのままでは当然のことながら誰も買いません。つまり、売却の際は、仮差押え登記を抹消した上で、所有権移転登記をすることが大前提になります。

しかし、仮差押えの登記は上述したように裁判所の嘱託で行われますので、仮差押えの申立てを裁判所にして認められた後に、裁判所から郵送で法務局へ申請されます。
これは、仮差押え登記を抹消する場合も同様です。

仮差押えの登記を抹消する場合、まず、仮差押権者が裁判所へ仮差押えの取下書を提出します。そして、その後に裁判所から法務局に嘱託で登記がなされます。この嘱託登記は、上述したように郵送でされます。
つまり、裁判所への取下書の提出と嘱託登記の受付が法務局へされるまでの日付にタイムラグが生じます。

通常の不動産の売買取引においては、担保権などは抹消した上で所有権移転の登記をしますし、売買契約書にも売主の義務として明記されていることがほとんどです。そのため、売買取引と同日に抵当権者である金融機関から抵当権等を抹消するための書類を受領し、抵当権等の抹消登記と所有権移転登記は連件で申請します。
しかしながら、仮差押え登記の抹消については、上述したように嘱託で行われ、嘱託は郵送でされるので、所有権移転登記がされた後に、仮差押えの抹消登記がされるといった順番になります。

仮差押え登記が抹消されるためには、裁判所への取下書の提出が必要ですので、仮差押えの登記のされている不動産取引については、確実に取下書の提出がされたことを確認する必要があります。
確認方法としては、仮差押権者に取下書を裁判所に提出する際、裁判所の受領印の押された受領書を取得してもらい、それを確認した後に登記の申請をします。

このような仮差押えとは異なり、税金の滞納処分に基づく差押えなどは、裁判所を通さずに各役所から法務局への嘱託により差押えの登記がされます。そのため、差押登記の抹消登記の際も各役所から法務局への嘱託により登記されます。この場合は、役所から嘱託書を受取ることができるので、所有権移転登記と連件で申請することができ、特にタイムラグは生じません。

このように、売主側に所有権以外の権利が何かしら登記されているとそれを抹消するにも権利や当事者によって手続きが異なりますので、神経を使います。仮差押登記や差押登記などが抹消されずに所有権移転登記がされてしまったら、シャレになりませんからね・・・

案件によっては、石橋を叩きまくって渡らないといけないこともあります。

叩きすぎて、カチ割ったらチーンですね。 笑