こんにちは、尼崎市の司法書士の村田です。

3月に入り、いよいよ春本番といったところでしょうか。
暖かい日も増えてきましたね。

さて、今回は、先日認証が終わりました公正証書遺言についてのお話です。

Aさんは、高齢の一人暮らしの方です。
配偶者も子もいません。
推定相続人としては兄弟が2人います。
ですので、Aさんが亡くなった場合、その兄弟の方が1/2ずつの割合でAさんの遺産を相続することになります。

Aさんは、子供が好きだがずっと独身で、推定相続人である兄弟とも折り合いが悪くほとんど連絡を取り合うことはない仲であるとのこと。
そこで、自分が亡くなった後は、自分の遺産を尼崎市内の恵まれない子供たちのために使ってほしいとのことで、遺言を遺すことにしました。

遺産は金融資産・不動産含め、数千万円。

まず、本当にご兄弟には遺産を遺さなくていいかを何度も確認しましたが、単純に折り合いがあるいという理由だけではありませんでした。
Aさんのお父様は生前に尼崎市で市議会議員をされており、尼崎市に非常に貢献をされた方で、Aさん自身もそのお父様を尊敬していたが、親孝行をあまりできなかったので、親孝行の代わりに父と同じように少しでも尼崎市に貢献したいとのことでした。

次に遺産の寄付先の選定のお手伝いをさせていただきました。
子供関係の施設のピックアップに、役所・団体等に問い合わせ、遺産を寄付した場合にきっちりと子供たちのために使っていただけるようなところを探しました。

様々なところに問い合わせ、その度に回答を待ちましたので、実際に公正証書遺言の作成に至るまで3カ月ほどの時間がかかりました。
時間はかかりましたが、Aさんご本人とも何度もお会いし、打合せをしていく中でじっくり信頼関係を築くことができたことは結果的に良かったと思います。

ここで、法定相続人には民法の規定により遺留分が認められています。
遺留分とは、法定相続人に最低限認められている相続分のことです。
亡くなられた被相続人が全遺産を相続人以外の人や法人に遺贈するという遺言はもちろん有効ですが、それでは、本来法律上の相続権を持っている法定相続人はまったく遺産を承継することができず、法定相続人の中には、生活上、被相続人の財産が必要な方もいます(例えば、自宅が被相続人名義であるなど)ので、法定相続人を保護するために遺留分という制度が存在します。

遺留分の割合としては、法定相続人が直系尊属(父母、父母がいない場合は祖父母)のみの場合は3分の1の割合、それ以外の場合は、2分の1の割合になります。
ただし、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。遺留分が認められているのは、配偶者・子・直系尊属のみです。

つまり、上記Aさんの事例に当てはめると、Aさんの法定相続人は兄弟姉妹のみですので、Aさんが遺言を遺せば、兄弟姉妹には遺留分が認められていないことから、遺言で定めた通りの遺産の帰属になります。
しかし、ただ遺言を定めただけだと、その遺言の内容を実現する(遺言執行)のは原則相続人になりますので、Aさんの事例だと兄弟姉妹が、遺言を執行する必要がありますが、Aさんは兄弟姉妹には遺産を遺さず、さらには遺留分も法的に認められていないため、兄弟姉妹は遺産はもらえないにもかかわらず、遺言の執行をしなければならないということになり、酷な話になってしまいます。
また、自宅を売却して、売却金額から諸費用を清算した残預金を寄付するという形の清算型遺贈の部分も含まれていますので、兄弟姉妹にはなおさら手間だけかかり不条理な結果になってしまします。

そういった観点から、当職を遺言執行者として遺言の中で定めていただくことになり、Aさんがお亡くなりになった後の遺言執行は私が行うことになりました。
遺言執行者を定めておけば、相続人の代わりにその執行者が遺言を執行しますので、相続人の負担を軽減することができます。

遺言執行者には特段資格がありませんので、司法書士はもちろん身内の方でも就任することができます。

Aさんは、ここ数年ずっと気になっていた自分が亡くなったとどうするのかという懸念事項が解決し、スッキリしたと大変喜んでいただきました。
また寄付するにあたり、遺言の趣旨をAさんの気持ちを汲んで第1条に盛り込みましたが、それも大変喜んでいただきました。

遺言は、法的に言うと単独行為であり、特に相手方の同意等は不要な法律行為です。
一言でいうと、相手の承諾なしに勝手に遺言者が決めることができます。
もちろん、遺言で遺産の指定がされた人も拒否することはできます。
通常であれば、もらえるものはもらいたいと思うのが、人間心理だとは思いますが、利害関係等により、遺贈を拒否する方も中にはいらっしゃいますので、その可能性も考慮に入れて、遺言先を考えていかなければなりません。
さらに細かい話をすると、不動産が絡む場合、ケースによって登記の仕方が変わったりします。
登記の仕方が変わると、かかる登録免許税(登記の際に係る税金)にも影響しますので、余分に費用がかかってしまうケースもあります。

近年、書店などで遺言作成キットやエンディングノートといった形で遺言についての書籍が売られており、ブームのようなものになっていますが、上述したように様々なケースを想定する必要性もありますので、遺言の作成については、専門家へ相談することをお勧めします。

遺言の作成のご相談は、ぜひ村田事務所へ!