こんにちは、尼崎市の司法書士の村田です。

さて今回は、少し特殊な登記のお話です。
タイトルのもありますが、職権更正登記というのは、法務局の登記官が自らの職権で登記の更正を行うものです。
不動産登記は、原則申請主義ですので、申請がなければ登記の内容に変更が生じることはありません。
しかし、登記を管轄する法務局の登記官も人間です。
ミスをすることはあります。
そのような法務局側のミスによって誤った登記がされてしまった場合は、申請をしなくても直して(更正して)くれます。

先日、相続を原因とする所有権移転登記の依頼を受けました。
物件は、土地(本地)・建物・土地の持分(私道部分)でした。
登記簿謄本や被相続人の戸籍謄本や除籍の附票など相続登記に必要な書類を収集し、確認したところ、建物だけ被相続人の住所が異なっていました。
所有不動産の一部の不動産だけ登記上の住所が異なることはよくあります。必ずしも住所が同じ時期に取得したとは限らないからです。
ただ今回の所有3物件の受付番号を見てみると、同じ日付で連番になっています。つまり、連件で同時に申請された可能性が非常に高いです。
にもかかわらず、建物だけ住所が異なるのはかなり違和感を感じました。
登記された日付は平成3年で、その当時登記の記録は、一部コンピュータ上で管理されていましたが、まだまだ紙でブック形式で保管されているものがほとんどでした。
その後登記記録徐々にコンピュータ化されていきました。これを「コンピュータ化に伴う登記記録の移記」と言います。
今回の物件を見てみると平成8年に移記されていました。

そこでピーンときました。

移記ミスだと・・・

もちろんその段階で裏を取ったわけではないので、100%ではありませんが、経験上確証はありました。
裏を取るのであれば、ブック形式の昔の登記簿謄本を見るしかないのですが、ブック形式の謄本の記録を取得するには、その不動産を管轄する法務局に直接行かなければなりません。

今回は、相続登記後に年内に売却をしたいという案件で若干急いでいましたので、直接電話で法務局に確認しました。
するとやはり移記ミスであり、すぐに更正しますとの回答がありました。
小一時間で更正が終わったとの連絡があり、無事に相続登記も申請しました。

急ぎの案件であったため、少しヒヤっとしましたが、移記ミスであってよかったと思いました。
もし、移記ミスでないということだと、登記上の住所と収集した被相続人の最後の住所までの住所の変遷のつながりがつきませんでしたので、廃棄証明・不在住証明や場合によっては上申書を作成しなければならないところでした。

ここで一つ誤解のないように言っておきますが、法務局の登記部門で働かれている方々は、その事務処理能力の高さはもちろん、膨大な登記に関する知識を持っていらっしゃいます。
日々、何十件・多い所だと何百・何千件と申請書や添付書類のチェックと最終の登記記録のチェックをされています。
普通は気づかないような印鑑と印鑑証明のわずかな印影のズレなんかも平気で見抜きます。
先ほど、登記官も人間だからミスはありますと言いましたが、ぶっちゃけほとんどありません。

正確にはもちろんわかりませんが、私の感覚では1000件あって1件あるかないか、いやもっと低い確率ではないでしょうか。
これは非常に素晴らしいことだと思います。
大げさではなく登記制度の根幹を支えている方々です。

私もたまに登記の申請書や添付書類に訂正事項があったりで、補正の連絡を法務局から頂いたりします。
忙しい中、一々電話するのも手間なのに申し訳ないなと思っています。

でも時には補正も仕方ありません。
だって私も人間ですから・・・

登記のプロとしては言い訳無用ですね。  笑