こんにちは、尼崎の司法書士の村田です。

11月ももう終わりに近づき、今年も残すとこあと1カ月ですね。
本当に1年はあっという間に感じます。

さて、今回は根抵当権の債務者の変更についてのお話です。
これまで何回か抵当権の債務者の変更についてはお話をしてきましたが、根抵当権の債務者の変更についても様々な論点があります。
今回は、単純に根抵当権者と担保提供者との間の合意で債務者を変更する場合をベースとしてお話します。

根抵当権の絶対的登記事項(必ず登記しなければならない事項)としては、極度額・債権の範囲・債務者の3つが挙げられますので、債務者に変更が生じた場合は、債務者の変更登記をしなければなりません。

例えば債務者をAからBに交代的に変更することもできますし、AからABといった形で追加的に変更することもできます。
登記の原因としては、元本確定前であれば「年月日変更」(相続の場合は「年月日相続」)です。抵当権のように「債務引受」や「更改」などが原因となることはありません。

根抵当権は根抵当権設定契約で定められた債権の範囲・相手方債務者・極度額という3つの枠内で生じた債権のみ担保しますので、債務者をAからBに変更したとしても、変更の前後を問わず根抵当権者とBとの間における取引(定められた債権の範囲内での取引)で発生した債権しか担保しません。つまり、変更前の根抵当権者とAとの間の取引(定められた債権の範囲内での取引)においてすでに発生している債権は担保されないことになります。もちろん変更後の根抵当権者とAとの間の取引についても担保されません。
また、債権の範囲において定められた取引によって発生した債権しか担保しませんので、仮に債権の範囲が売買取引であれば、根抵当権者と債務者との間の売買取引において発生した債権しか担保しません。金銭消費貸借取引や保証取引などにおいて発生した債権については、担保しないということになります。
そして担保する限度額が極度額ということになります。

以上が根抵当権の特徴であり、通常の抵当権との違いでもあります。

話を戻して、上述したように債務者をAからBに変更したとしても、変更前の根抵当権者とAとの間で発生した債権は当然には根抵当権で担保されませんので、これを担保されるようにするためには、債務者の変更と同時に債権の範囲を変更して、根抵当権の変更前に根抵当権者とAとの間で発生した債権を追加する必要があります。
その際の登記は、次のようになります。

目    的 〇番根抵当権変更
原    因 年月日変更
変更後の事項 債務者 B
債権の範囲 売買取引
年月日債務引受(旧債務者A)に係る債権

これは、BがAから免責的債務引受をした場合です。
単純に根抵当権者とBとの間の取引において発生した債権のみを今後担保すればよいだけであれば、債務者を変更すればよく、債権の範囲の変更は必要ありません。

ちなみに共同根抵当権の場合は、登記の目的は「共同根抵当権変更」としなければなりません。この点も抵当権と異なる部分です(抵当権の場合は共同抵当権でも「共同」の文言は不要)。細かい話ですが、忘れがちな部分です。「共同」の文言が必要なのは、債権の範囲の変更や極度額の変更も同様です。ついでに他に共同の文言が必要なものとしては「全部譲渡」「分割譲渡」「一部譲渡」があります。

もう一つ根抵当権の変更登記で大事な論点として、登記の権利者と義務者に根抵当権者と設定者(所有者)のそれぞれ誰がなるのか?です。
端的に言うと、利益の側面が強い方が権利者、不利益の側面が強い方が義務者になります。例えば、債務者の変更については、A→Bのように後退的に変更する場合は、権利者が根抵当権者、義務者が設定者(所有者)。A→ABも同様です。しかし、AB→Aと縮減的に変更する場合は、逆転して権利者が設定者(所有者)、義務者が根抵当権者となります。債権の範囲・極度額の変更も同様のことが言えます。

最後に実務的に抵当権との違いで大事なこととして、抵当権の債務者の変更登記については、設定者(所有者)の印鑑証明書は添付省略できますが、根抵当権の債務者変更の場合は、設定者(所有者)の印鑑証明書の省略はできない点があります。

このように根抵当権は、大前提で枠という概念がありますので、中々イメージしにくいと思います。抵当権は、債権が消滅すれば抵当権自体も消滅してしまいますが、根抵当権はこの枠内であれば、債権の発生と消滅を繰り返すことができます。また確定という制度もありますが、確定についての説明は改めてすることとします。

さらに枠と言えば、根保証という制度もあります・・・
が、これもまた改めてお話することとします。

別にもったいぶっている訳ではなく、また長くなってきていますのでね、、、

自分で見返すのも若干メンドくさいです 笑