こんにちは、尼崎の司法書士の村田です。

今年も早いものでもう11月ですね。
最近はおかげさまで忙しくさせていただいておりますので、あと2ヶ月もあっという間に過ぎてしまいそうな気がしています。

さてということで今日は会社の本店移転のお話です。

会社の本社の所在地を会社法上は「本店所在地」といいます。
この本店所在地は定款の絶対的記載事項です。つまり、この記載がなければ定款としての体をなさない一事項という重要なものです。
では、定款には具体的な所在場所(住所:~番~号)まで定めなければならないのでしょうか?
いえ、最低でも市区町村(最小行政区画)まで定めておけば、あとは定款で定めなくてもOKとされています。もちろん、具体的な所在場所(住所:~番~号)まで定めていてもOKです。

一見、きちんと具体的な所在場所(住所:~番~号)まで定款に定めておいた方が間違いないと思われでしょうが、そうでもありません。
定款で具体的な所在場所まで定めてしまうと、極端な話、本店を隣の建物に移転しただけで定款に変更が生じることになり、定款変更をしなければならなくなります。
定款変更は、株主総会の特別決議によってしなければなりません。(具体的な所在場所を定款に定めない場合は、具体的な所在場所については、取締役会or取締役の決議ですることになります。)
これが、最小行政区画までの定めであれば、市区町村をまたがらなければ、定款変更は不要であるということです。
この場合は、取締役会を設置している会社であれば取締役会決議、取締役会を設置していない会社であれば取締役の決議ですることになります。
例えば、定款で本店所在地を兵庫県尼崎市上ノ島町1丁目1番1号と定めてしまうと、後々本店を尼崎市上ノ島町1丁目1番2号に移転したとしても、定款の変更を行わなければなりません。
これが、定款で本店所在地を兵庫県尼崎市と定めておけば、尼崎市から本店移転をしない限りは、定款変更をする必要性はありません(もちろん本店移転の登記等は必要ですが。)。
もちろん、兵庫県西宮市に移転した場合は、前記どちらの場合でも定款変更は必要になります。

今回のケースでは、他の都道府県へ本店移転するため、定款変更が必要なパターンでした。

では、ここで一つ法務局の管轄をまたぐ本店移転の際に論点となることを一つ。
本店移転の登記申請は旧本店所在地か新本店所在地かどちらの管轄の法務局に申請するのか?という点です。
これは、旧本店所在地を管轄する法務局に旧本店所在地に対する申請書と新本店所在地に対する申請書を同時に申請する必要があります。
そして、登記にかかる税金である登録免許税も通常、同一管轄内の本店移転登記であれば、3万円ですが、管轄をまたぐ場合は、倍の6万円かかります。これは、申請自体が旧本店所在地に対する申請と新本店所在地に対する申請の2つ必要だからです。
さらに別の旧本店所在地と新本店所在地の管轄以外の法務局の管轄に支店がある場合は、その支店所在地においても本店移転登記の申請を別途しなければならず、この場合、登録免許税は一管轄あたり9,000円かかります。

また、本店移転の日はいつか?という点については、実際に本店移転をした日となります。
ただし、実際に本店移転をした日が本店移転の決議で定めた日と異なる場合は、登記申請は却下されてしまいます。しかし、「〇〇年〇〇月〇〇日頃」といった形で定めた場合は、ある程度の誤差は認められることになります。
まあ、実際はいつ本店移転したかなんて証明する書面の提出は求められていませんので、通常は本店移転の年月日を定めた決議書の記載で十分ですので、その決議書を提出すれば、多少、実際の本店移転日にズレがあっても法務局にはわかる由もなく、特に問題なく登記は通ります。

それにしても会社の本店を移転するだけで色々手続上ややこしいですよね。
これが個人であれば、簡単な転出・転入届を出すだけで済みます。
このように司法書士は、本店移転登記の申請を1つするだけでも様々な点を考慮しながら判断し、登記申請書類やその添付書類を作成しています。

不動産登記に関しても商業登記に関してもぶっちゃけ、申請書を作るだけであれば、インターネットが普及している現在においては、インターネット環境があればある程度調べて作成することができます。
しかし、実際に問題となり得る法令上・手続上のことが複雑に絡み合っているケースも多々あります。
そこで司法書士の出番です。
司法書士の仕事としては、書類をミスなく作るのももちろん大事ですが、それよりももっと重要なのは、その前段階で法令や手続実務上に違反していないかどうかのチェックや登記申請に必要な添付書類の適正な収集・作成といった部分になります。

こういった部分は、専門家でないと判断が難しい部分も多いと思います。

ということで、会社や各種法人でお困りのことなどあれば、お気軽に村田事務所までご相談くださいませ。