こんにちは、尼崎の司法書士の村田です。

早いもので10月ももう終わり、朝晩はだいぶ冷えますね。

今回は、任意後見契約とそれに付随する任意代理契約についてのお話です。

任意後見契約とは、意思能力や判断能力が衰えた時を想定して、まだ元気なうちに予め後見人になってほしい人と意思能力・判断能力が衰えた時に後見人に就任してもらうことを約束する契約です。
通常の法定後見との違いは、法定後見は意思能力・判断能力が衰えたときに配偶者や四親等内の親族が家庭裁判所に後見開始の審判を申立てることにより開始します。そして、法定後見は申立時に後見人候補者を立てて申立てることはできますが、家庭裁判所はこれに拘束されませんので、候補者を不適格と判断すれば、別途後見人を選任します。つまり、必ずしも被後見人(対象者)の望む後見人が選任されるわけではなく、また必ずしも被後見人と近しい人が選任されるわけではないということです。
また、任意後見人は、本人が元気なうちに契約を締結しますが、この契約は公正証書で締結しなければなりません。
他にも、任意後見契約は意思能力・判断能力が衰えるまでは契約の効力がそもそも発効しません。意思能力・判断能力が衰えた場合に、任意後見監督人の選任を家庭裁判所に申し立て、任意後見監督人が選任された時点で任意後見契約は発効するというところも特徴です。法定後見でも後見監督人が選任されることはありますが、絶対的ではありません。

ここで任意後見契約の特徴をまとめると、こんな感じです。
①当事者間での契約により、予め後見人を定めることができる。
→自分が信頼した人を後見人とすることができる。
②意思能力・判断能力が低下するまで契約の効力は発効しない。
→あくまで将来的に意思・判断能力が低下した時のための契約である。
③必ず任意後見監督人が選任される。
→任意後見契約の効力が生じるための絶対的条件です。
④任意後見契約は、公正証書で締結しなければならない。
→公証人が必ず関与することになります。

では、現時点では、意思・判断能力がしっかりしているが、身体的に病気やけがで不自由があったり・体調が悪い時が多いなどの理由により、自身での財産管理に障害があったり、いつ意思・判断能力を失ってしまうか不安だという方については、どうすればいいのでしょうか?
そもそも任意後見契約は、本人の意思・半田能力がしっかりしているときは契約の効力は発生していないため、任意後見人となる人に何ら権限はありません。そのため本人は自分で財産管理や各種契約や手続きなどを行わなければなりません。

このような場合を想定して、任意後見契約の前段階として、任意の財産管理契約(任意代理契約)や見守り契約という手段があります。

任意代理契約とは、上記のように、意思・判断能力がしっかりしているため、任意後見契約の効力が生じていないため、本人が自分で財産管理をしなければならない場合でも、本人に身体的な不自由や体調不良などにより、財産管理が難しい場合などに、代理権の範囲を定めて、権限を与えて任意後見契約に先行して本人の財産管理を行う契約です。
任意代理契約の代理人には、必ずしも任意後見人予定者がなる必要はありませんが、任意後見予定者がなるケースが多いです。任意後見予定者が任意代理人となることによって、本人の意思・判断能力に衰えが生じたときにスムーズに任意後見契約に移行できます。
任意代理契約についての権限は、当事者間で自由に定めることができますが、任意後見契約に近い権限を契約上定めておけば、よりスムーズに任意後見に移行することができます。

次に見守り契約とは、任意代理契約みたいに権限を与えて任意後見契約に先行して財産管理を行ってもらうのとは異なり、本人の様子を定期的に伺い、意思・判断能力が衰えてきたと判断したら、すぐに任意後見監督人の選任請求を家庭裁判所に申し立てることにより、任意後見契約に移行できるようにする契約です。

任意代理契約も見守り契約も任意後見契約に付随する契約になりますので、任意後見契約と同時に公正証書で作成することが多いです。
また、任意代理契約を締結する際に、一般社団法人成年後見センターリーガルサポートに登録している司法書士が関与する場合は、リーガルサポートの契約書のチェックと立会いが必要になります。任意後見契約は、監督人を家庭裁判所が選任するため、監督機能が働きますが、任意代理契約については、裁判所や任意後見監督人などの制度がありませんので、代わりにリーガルサポートが監督するような形です。

先日このような任意代理契約と任意後見契約を組み合わせた契約を締結しました。本人さんは、80代の一人暮らしの方で、親族に兄弟がいますが、疎遠で仲も良くないため、今後の自分の生活に不安があるとの相談でした。
この方は、意思・判断能力は当然ながらしっかりしていましたが、足を悪くされており、歩くことはできますが、外出する際は車椅子に乗られます。また時々季節によって身体的体調が悪くなることがあるため、その時は外出もままならないとのことでした。
そこで、任意代理契約を締結するが、原則本人の指示がなければ、代理権の行使をすることができないこととし、もしこれ以上体調が悪化し本人の指示を待っていては本人に不利益がある場合などはいつでも本人に代わって、財産管理や各種契約・手続きを代わりに行えるようにし、意思・判断能力が低下したらそのまま任意後見契約に移行するスキームを組みました。

現在は早速、本人さんから指示を受け、アスベスト被害の労災申請を代わりに行っております。

今よりもさらに社会全体の高齢化が進み、未婚率のさらなる上昇や、出生率が上がらない状況がこの先続いていくと、身寄りのない高齢の方が増えていくことになります。
そうなるとより任意後見契約やそれに付随する任意代理契約や見守り契約の需要も高まっていくことが予想されます。
加えて、遺言や死後事務委任契約、相続対策、尊厳死宣言(リビングウィル)などもますます増えていくことになると思います。
また、関西ではまだあまり利用されていない民事信託という手続きもこれからもっと需要が高まると思います。

この辺のお話はまた機会を改めてしたいと思います。

当事務所でも遺言・後見関係の相談は最近増えてきています。

今後の生活が不安だがどうすればいいかよくわからない、遺産の分配を遺言に残したいが専門家のアドバイスがほしいなどなど・・・
ぜひお気軽に村田事務所までご相談頂ければと思います。