こんにちは、尼崎の司法書士の村田です。

7月も早いものでもうすぐ終わりですね。
暑い日が続いています。ちょっと外に出ると汗が噴き出てきます。

さて、今回は、抵当権の移転登記についてのお話です。

抵当権も、所有権と同じで民法上の物権であり財産権であるので、譲渡することもできますし、相続や合併の相続財産や合併により移転する財産にもなります。

実務的に、よく見るのは、合併に伴って抵当権が移転しているケースです。
抵当権は住宅ローンや事業資金の貸付に伴って不動産に設定されることが多いので、おのずとお金を貸す側である銀行等の金融機関が抵当権者となっていることが非常に多いです。
そして、銀行も銀行法の適用は受けますが、会社法上の株式会社でもありますので、合併をすることができます。
過去における俗に言う「メガバンク」の誕生も合併によってですし、地方銀行の再編なんかもあります。
また、銀行の合併に伴い、保証会社などの関連会社にも合併などの組織再編があることが多いです。

そして、合併をすると、当然に合併元の抵当権は合併先の抵当権に移転します。
つまり、合併を原因の抵当権移転登記をすることができます。
ただ、合併をしたからといって、銀行はすべての抵当権移転登記を一斉にやるわけではありませんし、順次順番にやっていくわけでもありません。
所有権の登記や抵当権の登記は、不動産登記において権利登記と呼ばれ、権利登記については、法律行為があったからといって必ずしもそれに伴って登記をする義務はありません。
そのため、特に抵当権移転登記の必要性がなければ登記上、合併元の抵当権設定登記のままであることも珍しくはありません。

ここで、権利登記は必ずしもする義務はないといいましたが、ある登記(A登記)をするにあたって、その前に起こっている法律行為に伴う登記(B登記)をしていなければ、そのB登記を先にしなければ、A登記はできないことになります。
起こった法律行為の順番で登記をしなければならず、省略できないという登記の連続性の原則があるためです。

我々司法書士がよく見るケースとしては、抵当権の抹消登記をする際に、対象不動産の登記記録を見ると、抵当権者である銀行が合併して合併先に抵当権が移転しているにもかかわらず、合併元の登記記録のままであるケースです。
この場合、抵当権の移転登記を抵当権抹消登記より前に申請しなければ、抵当権抹消登記は却下されてしまします。

抵当権移転登記をするにあたり、必要な書面としては、登記原因証明情報(合併の記録が載っている商業登記の履歴事項証明書など)、資格証明書(商業登記の履歴事項証明書など)、代理権限証明情報(司法書士に対する銀行の委任状など)です。
つまり、簡単に言うと合併の記録と本店・代表者の記載のある商業登記の履歴事項証明書と司法書士に対する委任状があれば、抵当権移転登記できます。合併の場合は、登記済証や登記識別情報といった俗にいうところの不動産の権利証は必要ありません。
登録免許税は、登記上の債権額×0.1%です(合併・相続以外の原因の場合は0.2%)。
**ちなみに不動産の権利証がいらないのは相続の場合も同様です。**

ここで、注意しなければならないのは、登記上の抵当権者である銀行が合併はしているものの、その銀行が相手先を吸収合併している場合です。吸収しているので、そもそも合併先はなく、抵当権も移転していませんので、抵当権の移転登記は不要になります。
よくあるのは、相手銀行を吸収合併して、商号を変更している場合です。この場合、原則的には、抵当権者の商号変更登記(〇番抵当権登記名義人商号変更登記)をすべきですが、例外的に商号が変更したことを証する情報(登記上の商号から現在の商号に変わったことがわかる履歴事項証明書など)を提供すれば、商号変更登記を省略することができます。
この辺のことは、4月10日付投稿の「抵当権の債務者の住所変更」にも詳しく書いてありますので、良かったらそちらも見てください。

もう一つおまけの情報として、旧「住宅金融公庫」は現在「独立行政法人 住宅金融支援機構」になっていますが、旧「住宅金融公庫」の抵当権が設定してあり、「住宅金融支援機構」に抵当権の移転登記をする場合は、登録免許税は非課税でかかりません。

他にも債権譲渡に伴い、抵当権が移転し、それに伴って債権譲渡を原因とする抵当権移転登記をすることもあります。

抵当権という権利を一つとっても、様々な登記がありますし、かなり専門性の高い分野でもありますし、金融機関等が関係してくることも多いですので、実務的な専門性も高い分野でもあります。

お困りのことがあれば、登記の専門家である司法書士にご相談をすることをお勧めします。