こんにちは、尼崎の司法書士の村田です。

今回は、いつもお世話にになっている金融機関の担当者の方から医療法人の利益相反についてのご相談がありましたので、その点お話したいと思います。

個人の開業医の方が、開業時の設備投資に際して、その金融機関から融資を受け、債務者になっており、この度、法人化しその理事長に就任するため、その設備関係を法人に承継させたいのに加えて、債務者も法人に変更するにはどうしたらいいのか?と

方法論としては、とりあえず2つあると思います。
①理事長の個人資産である病院の設備等を法人へ売却する。法人は購入にあたり、購入代金を金融機関から融資を受けて、理事長はその売却代金で個人債務を返済する。
②理事長の個人資産である病院の設備等を法人へ負担付贈与し、法人が理事長個人の債務を免責的債務引受で引き受ける。
(*この他にももちろんあると思います。)

まずは税務上の問題があるので、顧問の税理士の先生に相談したところ、設備関係については、すでに簿価の算出もできているので、売却という方法を採るのがいいのではないかとのことでした。

ここで問題となるのが、利益相反です。
理事長個人の資産を医療法人が買受ける場合は、利益相反行為になります。売買価格を決めるにあたり法人に不利益な金額が設定される可能性もありますからね。
もちろん利益相反行為をしてはいけないというものではなく、通常の株式会社の場合は、会社の承認が必要になります。取締役会や株主総会での決議がその承認を得る方法として挙げられます。
しかし、医療法人の場合は特殊で、理事長と医療法人が利益相反行為を行う場合は、特別代理人の選任が必要になり、その特別代理人が医療法人に代わって、理事長との間の利益相反行為を行います。
特別代理人の選任については、候補者を決め、医療法人の主たる事務所がある都道府県に申請します。
特別代理人の候補者には、理事長と親族関係(3親等以内)にない者、生計を同一としない者を選ばなければなりません。また、医療法人と顧問契約にある税理士・弁護士等、特定の関係のある営利法人の役員等はなることはできません。
ただ、医療法人の事務局長などの使用関係にある者(役員でない者)は、なることができます。

候補者の選任と利益相反行為につき、まず医療法人の社員総会において決議し、その後に都道府県へ申請を行い、審査後正式に特別代理人が就任するという流れです。
そして、特別代理人は、就任後に医療法人と利益相反となる法律行為(契約等)を行います。

ちなみに申請にあたり特に登録免許税や事務手数料のようなものはかかりませんし、審査機関については兵庫県では通常3週間~1か月ほどかかっているみたいです。

このように医療法人については、通常の会社とは異なり、法務局に申請する登記だけでなく、様々な場面で各都道府県の許認可も必要になってきます。
他にも利益相反以外で許認可が必要になる場面としては、医療法人の定款を変更する場合や、役員を変更する場合などがあります。

法人(会社以外)については、医療法人以外にも様々な種類があります。例えば社団法人やNPO法人、社会福祉法人、宗教法人、学校法人に司法書士法人などなど・・・

これら法人については、また機会を改めてお話したいと思います。