こんにちは、司法書士の村田です。

先日ご依頼頂いた相続登記で、少し頭を悩ませたことがありました。

事案としては、建物について表題部に被相続人の登記があるだけで、権利部(甲区・乙区)の登記はされていません。
表題部しか登記がない場合、権利部に一番最初にする登記は、所有権保存登記です。
しかし、今回は、表題部所有者がすでに亡くなっています。
このような場合、登記の連続性の原則でいうなら、亡くなられた表題部所有者の名義で所有権保存登記をするべきですが、不動産登記法74条1項1号には次のように定められています。
「所有権の保存登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。1.表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人」
そうです、不動産登記法で直接表題部所有者の相続人も所有権の保存登記を申請することができると規定されています。
そのため、当然ながら、表題部所有者の相続人の名義に直接所有権の保存登記をすることができます。
ここまではよくあるケースなので特に問題はありませんが、ここから今回の本題です。

2点の問題がありました。
それは、
①表題部所有者(被相続人)の登記されている住所が住居表示が実施される前の古い住所である
②登記されている名前の漢字の一部が戸籍謄本や住民票などに登録されている名前の漢字と異なる
という2点です。

不動産登記は、所有権登記の場合、所有者の情報について住所と氏名しか登記されませんので、登記上の所有者と今回登記申請をする所有者と名乗る者が同一であるかどうかの判断は、厳密に行われます。

このうち①については、まず登記上の住所の住居表示の実施後の住所を調べます。そして、住居表示実施後の住所が被相続人の最後の住所地であれば、住所の繋がりがつきますので、問題はありません。今回のケースは、登記上の住所の住居表示実施後の住所と被相続人の最後の住所地の確認が取れたため、被相続人の住所については、同一性を確保できました。

しかし問題は②です。
名前の漢字については、法務省の通達等により、そもそも登記上使える漢字か否か(使える漢字を正字・使えない漢字を俗字と呼んでいます。)、使えたとして同一の漢字であるとして読替えがきくか否か(同じ系統の漢字でも同一の文字であると判断されれば、読替がききますし、同一文字でないと判断されれば読替えがききません。)を判断していかなければなりません。
そして、今回の対象の名前の漢字については、登記上使われている漢字も戸籍等で使われている漢字もどちらも正字であり、登記上使えますし、読替えがきくかきかないかの判断が通達等ではされていない漢字でした。
この点、法務局に問い合わせたところ、検討したいから相談内容を相談票として書面でほしいと。

なぜ、ここまで我々司法書士も法務局も神経質になるかといいますと、登記上の住所や名前の漢字が異なると、まったく別人という可能性もゼロではないからです。
そのため、同一性の判断については神経質になります。

その結果・・・

表題部の登記名義人は、被相続人と同一人物で間違いない旨の相続人全員の上申書を提出してくれとのことでした。

予想通りでした。
ただできれば、相続人の方々にもお手間を取らすことになるので、上申書もなしで対応してもらいたかったところですが、仕方ありません。

相続人の方々に上申書に署名・捺印を頂き、無事登記が完了しました。

法務局の方にもお忙しい中質問に答えていただき感謝しています。

 

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