こんにちは、司法書士の村田です。

天気が悪い日が続いていますね。
最近は少しずつ気温も上昇してきているので、電車や建物の中に入ると、少し蒸し暑かったりもします。

さて、今回はちょっとシブめの内容です。登記手続上の問題についてです。
といっても、登記を専門とする司法書士にとっては、よく見かけるケースですので、それほど珍しいものではありません。

住宅ローンを組むのに伴い抵当権設定登記がされている場合、債務者の住所・氏名も抵当権の内容の1つとして登記され、公示されます。
では、この抵当権の抹消登記をする際に、債務者の現在の住所が登記上の住所から変わっている場合に、債務者の住所の変更登記をしなければならないかどうかです。

答えは、NOです。もちろん変更の登記をしてもいいのですが、特段する必要はありません。しようと思うと登録免許税が余計に不動産1個あたり1,000円かかってしまいます。

これとは逆に抵当権が設定されている不動産で、その抹消登記をする際にその不動産の所有者の現在の住所が登記上の住所から変わっている場合は、住所変更の登記が必要です。

通常の住宅ローンの場合、所有者がその不動産を取得するために住宅ローンを自分の名義で組むことが多いと思いますので、所有者=債務者であることがほとんどだと思います。
つまり、所有者=債務者であって抵当権の抹消登記をする際に、所有者=債務者に住所変更が生じている場合は、所有者の住所変更登記は必要ですが、債務者の住所変更登記をする必要はないということになります。

では、同様のケースで抵当権が設定されている場合で、今度は抵当権者である金融機関等の住所が変わっているときに、抵当権の抹消登記をする場合は、抵当権者の住所変更登記は必要でしょうかどうでしょうか?

これも答えはNOです。
抵当権者の住所変更登記をせずに、抵当権の抹消登記をすることができます。
ただし、この場合は、住所が変更したことがわかる変更証明書が必要になります。
具体的には、登記上の住所(本店)から現在の住所(本店)へ住所変更(本店移転)したことがつながる履歴事項証明書や閉鎖事項証明書が必要になります。
また、合併によって、合併先の新たな法人に抵当権が引き継がれているときは、住所が変わっただけでなく、そもそも抵当権の権利者自体が変わっているため、合併による抵当権の移転登記が必要です。これは、個人の相続が発生した場合と同様の考え方になります。

このように、同じ登記(抵当権抹消登記)をする場合で、同じ事由(住所移転)が発生している場合でも、立場や視点が変わると必要な登記が変わってきたりすることがあります。

不動産登記の大原則として、登記の連続性というものがあります。
これは、発生した事実関係・法律関係の通り・その生じた順番で登記がなされなければならず、省略することができないというものです。

今回の上記ケースのうち、抵当権者の住所変更(本店移転)が省略できるというのは、この大原則を修正しても許されるケースの1つです。

ちなみに抵当権者の債務者の住所変更登記が省略できる理由は、また別の趣旨からです。
そもそも抵当権の債務者は、登記事項の1つにすぎず、抵当権抹消登記の当事者ではないため、省略できるという趣旨です。
抵当権抹消登記の当事者は、抵当権者(金融機関等)が登記義務者で、抵当権設定者(不動産所有者)が登記権利者であり、債務者はあくまでたまたま所有者=債務者というだけであり、登記の当事者ではありません。
この点、抵当権の設定登記については、当初の債権額(借入額)も登記事項ですが、完済して債権額が0円になったとしても、抵当権抹消登記をする前提として、債権額の変更登記をしなくてもいいと考えると何となくわかりやすいと思います。

 

最後の方は、若干ややこしい説明になってしまいましたね。
不動産登記法には、不動産登記令・不動産登記規則・不動産登記事務取扱手続準則に通達・先例に各法務局による実務的見解と非常に細かく定められており、そこに民法・借地借家法・農地法・森林法・土地区画整理法・建築基準法・会社法などなどの実体法が複合的に絡み合ってくることがあるので、多くの司法書士は、時には知恵を絞ったり頭をひねったり、何度も法務局や関係各所と打合せをしたりしていると思います。

こんな感じで司法書士は、名前は大層ですが、けっこう地味で裏方的な根回しも必要な職業なんです。

地味・裏方・根回し・・・

 

書いてて思いましたが、やはり私に向いてるかもしれません。 笑